2018年4月19日 (木)

いせき cafe 39 岐阜県富加町の夕田茶臼山古墳

岐阜県の東濃地区のある夕田茶臼山古墳。箸墓古墳に先行する可能性が
高いが、墳形はいわゆる纏向型前方後円墳ではないタイプ。
前方後方墳も多い美濃国でこのような古墳をどう解釈するか難解ですが、
道案内表示や看板、駐車スペースが整備されていて助かりました。




authored by 山中鹿次(NPO法人近畿地域活性ネットワーク)


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2018年4月 2日 (月)

いせき cafe 38 史跡内のトイレ

史跡内のトイレというと基本的には目立たないような位置で、自己
主張しない建物であることが多い。特別史跡大坂城跡の本丸の
トイレも外観は決して自己主張しているものではないが、室内が
印象的であった。小用便器が建物の壁面に取り付けられている
のではなく、背の低い衝立状のものに取り付けられており、トイレ
の裏側にある石垣に向かって用を足すようにできているのである。
解放感のある、場所性にこだわったトイレに感心した。
史跡内ではないが、同様に解放感のあるトイレには、史跡今帰仁
城跡の史跡指定地に隣接する今帰仁村グスク交流センターの
トイレがある。
どちらのトイレにしても開放的にできるのは男性用で、かつ冬季に
積雪や凍結がない場所だからであろう。




authored by 内田 和伸(奈良文化財研究所)


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大坂城本丸跡のトイレ(外観)

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大坂城本丸跡のトイレ(室内)  H30.3.11撮影

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今帰仁城跡のトイレ室内  H23.2.24撮影

いせき cafe 37 名勝三保の松原(静岡市)の仮設ガイダンス施設

三保の松原は大正11年に指定された名勝であり、平成25年に
世界遺産に登録された「富士山---信仰の対象と芸術の源泉」の
構成資産の一つでもある。羽衣の松に近い入口近くにはデザイン
されたユニットハウス(約7m×3m)3棟が並ぶ。1棟は観光案内所で、
2棟がガイダンス施設である。ガイダンス施設の一方は映像展示室
になっており、天女伝説を伝える。他方は地形や歴史、伝説等の
パネル展示を行っており、そこでは「絹本着色富士曼陀羅図」(重要
文化財 富士山本宮浅間大社蔵)の写真等が掲げられ、富士山
との関係性を明快に示していた。
仮称三保松原ビジターセンターの計画が進んでいるため、5年程
の間の、仮設の極めて小規模であるが、名勝の価値を効果的に
伝える施設である。各地の遺跡等でそれぞれ恒久的なガイダンス
施設ができればよいが、こうした規模で仮設のものでも効果は
大きいと感じた。




authored by 内田 和伸(奈良文化財研究所)


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名勝三保の松原の仮設ガイダンス施設 H30.3.2撮影

いせき cafe 36 登呂遺跡(静岡市)の不燃性材料による竪穴住居復元

登呂遺跡では近年の発掘調査成果に基づいて再整備が行われ、竪穴
式住居4棟、祭殿1棟、高床倉庫2棟が復元されている。竪穴式住居の
復元では、各種の活動ができるように建築基準法に基づく建築物に認
定されることを目指したが、登呂遺跡は第一種住宅専用地域内にある
ため、屋根・外壁が不燃であることの条件をクリアできず、竪穴式住居
のうち3棟は屋外展示物扱いとなった。他の竪穴式住居1棟は恒常的
な体験的活用を実現するために、建築物となる方法を検討し、鉄骨造
GRC(Glassfiber Reinforced Cement、ガラス繊維強化セメント)パネル
貼り構造の建築物として建設された。GRCはFRP(Fiber-Reinforced
Plastics、繊維強化プラスチック)同様に遺構の型取り模型に用いられ
る材料である。
柱、桁、棟木は木材であるが屋根の荷重は受けないようになっており、
建物の骨組みは鉄骨である。一旦茅を葺いた後でシリコンを塗布して
型取りをし、雌型を作成した。これを用いてGRCで雄型を作成し、鉄骨
の骨組みに固定した。室内から見える垂木などもGRCで作成されてい
る。GRCのパネルの隙間はコーキング材を使って茅などの形状にして
いる。着色して仕上げられており、一見しただけではGRCだとはわから
ないほどの出来栄えである。屋根の外側の茅部分ではよくよく見ると
パネルとパネルの間の目地部分がわかる程度である。
内部で火を使っての調理体験などを行っているという。

参考文献 『特別史跡登呂遺跡再整備事業報告書』
静岡市教育委員会 2012




authored by 内田 和伸(奈良文化財研究所)


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登呂遺跡復元建物群 右から2番目が不燃性の建築物

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不燃性の復元住居

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GRCの屋根材 H30.3.1撮影


2018年1月 4日 (木)

『遺跡学研究』第14号を刊行しました

日本遺跡学会学会誌『遺跡学研究』第14号を刊行いたしました。
会員外の皆様で頒布ご希望の方は、日本遺跡学会へ直接お問い合わせください。
また、六一書房北九州中国書店においても取り扱い予定です。
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『遺跡学研究』第14号
2017年11月20日発行
<グラビア>
平成28年度日本遺跡学会高槻大会(高槻市、平成28年11月20日) 日本遺跡学会事務局
点在する荘園遺跡 史跡日根荘遺跡 前川 歩
<特集1 古墳と現代とのつながり>
(趣旨)  林 正憲
(会長挨拶)  増渕 徹
(共催者挨拶) 濱田 剛史
□基調講演
今城塚古墳の1500年 森田 克行
□事例報告
はにコットへようこそ  牧 梨恵
□研究報告
古墳時代の心と社会-前方後円墳の認知考古学- 松木 武彦
古墳と地域社会の近現代史  松田 陽
□討論記録
古墳と現代とのつながり 司会:菱田 哲郎
<特集2 点在する史跡>
(趣旨) 前川  歩
点在する史跡-遺跡群から歴史を捉える視点-  坂井 秀弥
群をいかに見せるか-史跡古墳群を中心に-  一瀬 和夫
骨寺村荘園遺跡における史跡と文化的景観  菅原 孝明
弥勒寺官衙遺跡群の整備  田中 弘志
史跡田儀櫻井家たたら製鉄遺跡の整備・活用とゾーン展開  幡中 光輔
佐渡金銀山遺跡における広域整備  宇佐美 亮
点在する特別史跡 名護屋城跡並びに陣跡  松尾 法博
<特集3 近代社会と石切場>
(趣旨) 高田 祐一
札幌軟石の採掘・利用とその石切場の歴史 長沼 孝
稲田花崗岩地域における採石産業の成立について 乾 睦子
生きられた素材としての大谷石 産業・建築・地域における歴史と現在 安森 亮雄
大阪府大東市龍間の近代石材業  黒田 淳
明治・大正・昭和期の小豆島石の動向―皇居造営事業とその後―  高田 祐一
天草下浦石の歴史と海を介した流通  中山 圭
<研究ノート>
遺跡の整備計画に関する計画論的考察 小林 敬一
<碩学に学ぶ>
遺跡と建築史 鈴木 嘉吉
関東地方の埋蔵文化財保護50年の歴史
森田 秀策・吉川 國男・高橋 一夫・西野 元
<遺跡の現場から>
「史跡 纒向遺跡・史跡 纒向古墳群」の保存活用計画について 中屋 菜緒
東日本大震災と原子力発電所事故にかかる資料保全と活用
―福島県富岡町歴史・文化等保存プロジェクトチームの活動と震災遺産― 三瓶 秀文
<学界・行政情報>
熊本地震による文化財被害と復旧の取組みについて 村﨑 孝宏
『埋蔵文化財保護行政におけるデジタル技術の導入について2』 近江 俊秀
平成28年度の史跡等の整備について 五島 昌也・中井 將胤・赤松 佳奈
提言「持続的な文化財保護のために -特に埋蔵文化財における喫緊の課題-」
<研究余録>
昭和・庭園史研究の血潮  高橋 知奈津

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